進化思考――生き残るコンセプトをつくる「変異と適応」 (太刀川英輔)の次に読む本

あらすじ

地球上に無数の生物が存在する中、人間だけが圧倒的な創造性を発揮しているように見える。圧倒的な創造性とはほんの一部の天才にしかなし得ないブラックボックスなのか。

そんなことはない。

著者は、わたしたち人間を含む自然現象の中に創造に似た現象を見出し、本書でその体系化を試みている。それは自然界で機能する多様な形態を生み出している「進化」だ。進化にはエラー的な変異と自然選択による適応を繰り返す生物の普遍的な法則性がある。そして変異には9つ(変量:極端な量、擬態:真似ること、欠失:標準装備から取り除く 他)、適応には4つ(空間軸である解剖と生態、時間軸である系統と予測)のパターンがあるのだ。

人間の創造性に対する結論はこうだ。

創造性とは、『狂人性=変異』と『秀才性=適応』という2つの異なる性質を持ったプロセスが往復し、うねりのように螺旋的に発揮される現象のことなのだ。

そら丸
そら丸

失われた30年を経てむかえたこのコロナ禍で、今までのやり方の多くが通用しなくなってきています。


そこで求められるのは、まさしく創造力。

創造力やアイデア創出法に関する書籍は多数存在しますが、本書の独自性と面白さは、人間を含む自然界の営みをもとにこの創造力のメカニズムを読み解いている点です。

表層的なハウツー本とは次元が異なります。

自然界の変異と適応の壮大な歴史から創造性の本質を考察することで、通常のフレームワークの何倍にもイマジネーションをふくらませることができる良書といえますね。

次に読む本

スピリチュアルズ(橘玲)

「わたしは何者か?」

この人間誰しもが気になる問いに対して、近年の心理学や進化論をもとに考察し解き明かしたのが本書だ。実は「わたし」とはほとんどすべてが無意識で、意識はその一部でしかいないという。「わたし」とはこの「無意識/魂」の傾向のことなのだ。そしてこの「わたし」という存在の特性は、Facebookの「いいね!」をAIで解析することで人物像を明らかにしたマイケル・コシンスキーの研究のベースである「ビックファイブ」理論で明らかになるという。

「ビッグファイブ」とは、「外向的/内向的」「楽観的/悲観的」「協調性」「堅実性」「経験への開放性」という5つのパーソナリティの要素のことである。

本書ではこの「ビックファイブ」理論に対して、知識社会できわめて重要な「知能」と、アカデミズムでタブーとされてきた「外見」などを加えた「ビックエイト」をもとに、「わたし」のパーソナリティを読み解いている。

「自分さがし」というのは、突き詰めて考えるなら、自分のキャラ(パーソナリティ)とそれに合った物語を創造することなのだ。おそらくは人生にそれ以外の意味はないのだろう。

そら丸
そら丸

なんであの時自分はあんなことをしてしまったのだろうと後悔することは誰しもよくありますよね。これは自己のほとんどが無意識の存在であるということを理解すると、ある意味当然の結果といえます。だからといって自己のふるまいやパーソナリティを制御できないわけではないはずです。

本書で紹介されているこのシンプルなビックエイトの内容や、成功するパーソナリティとダークトライアドの解説は、自分や他者の理解に一役買ってくれるはずです。誰もが望んでいる人生の幸せとは、自分のパーソナリティに合った舞台とそこからの自分だけの物語を紡いでいることにあることがわかります。

そら丸
そら丸

 創造のプロセスと自分のパーソナリティは、「進化のメカニズム」の影響下にある脳の産物という意味で共通です。進化における9つの変異と4つの適応を深く理解し、いつでもそれらを組み合わせながら創造=アウトプットしていくこと。パーソナリティのビッグエイトの概念をもとに自分のふるまい方や他者との関係性に活かしていくこと。

それは、進化という壮大な歴史の中だけでなく、日常生活というミクロな時空間の中で自分だけの物語=ナラティブを創造していくことにつながります。

今回紹介したこの2冊は、何かとストレスフルな社会環境で成果を上げ、キャリアを築いていくための拠り所となってくれるでしょう。




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