日田夏物語(岩橋秀喜)の次に読む本

この記事は、著者が「一万円贈呈課題本」に提案した書籍のレビューです

あらすじ

昭和44年。夏。岐阜大学に進学していた広瀬創造は、故郷である日田に初めての帰省をする。
久しぶりに戻った日田の地で、創造は懐かしい同級生たちと再会を果たす。
夜行バス。長距離列車。初めてのドライブ。故郷の夏祭り。精霊流し。
少し大人びて、綺麗になった女友だちに、創造は仄かな憧憬を覚える。

ぬぬに
ぬぬに

物語の舞台となる日田(ひた)は、大分県の北西部に位置する歴史のある町です。作者の経歴が日田出身、岐阜大学卒とあるので、本作は半自伝的な要素が多分に含まれているのではないかと想像します。

故郷を離れて初めての帰省。地元にいるときは何とも思わなかった風景も、久しぶりに見てみると味わい深い。かつては当たり前のように見ていた地元の祭も、あらためて体験してみると心に残る。進学や就職で、故郷を出た方にとって、初めての帰省は特に印象に残る出来事だったのではないでしょうか?

本作には、誰にでもあるような懐かしい「昭和の夏」の記憶を呼び覚ましてくれる力があります。

次に読む本

ブラバン(津原泰水)

東京の大学を卒業し、久しぶりに故郷の広島に戻った主人公は、流行らないバーを細々と営業している。
かつて吹奏楽部であった主人公は、先輩である桜井ひとみと再会したことで、思わぬ厄介事に巻き込まれる。
「当時のメンバーを集めて吹奏楽部を復活させる!」
それは、二十年の歳月を経て、かつての友たちを訪ね歩く奇妙な旅のはじまりだった。

ぬぬに
ぬぬに

本作では、20数年前の高校生時代のエピソードと、40代となった主人公たちの現在のパートが交互に描かれます。瑞々しく、ちょっと切ない十代の頃の物語と、厳しい現実に打ちのめされる40代のリアル。この対比がなんとも残酷なコントラストで、読む側の胸に迫ります。

かつての夢は叶ったのか。思い通りの人生を歩むことは出来たのか。積み重なった歳月の重さと、少しばかりの残された希望。中年期に入ってから読むと、より一層深く楽しめる作品だと思います。

ぬぬに
ぬぬに

「日田夏物語」は昭和40(1960)年代の青春を描いた作品ですが、もう一方の「ブラバン」は昭和60(1980)年代を舞台とした作品です。時代はずいぶんと違うのですが、ケータイやスマホ、LINEが無かった、昭和の青春時代を懐かしく振り返ることが出来る作品という視点で選んでみました。




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