人新世の「資本論」  斎藤 幸平 (著)の次に読む本

あらすじ

脱資本主義の社会の次に目指す社会とは?をメインテーマに
資本主義による無尽蔵の成長路線によって、
私たちの生活に重大な影響をもたらしてしまっている(環境破壊、格差社会、労働の搾取)
ことに対して警告されている本となります。

資本主義のエネルギー元は、無尽蔵の人間の欲望なので、
経済成長は無限に続くと思われましたが、
実態は、有限な資源と引き換えに行われており、
経済成長に伴って失われたモノが多く存在します。

以下本の中で述べられている失われたモノ一覧です。
・新興国というグローバル・サウスの資源が食い尽くされています。
・強者により弱者が食い尽くされています。
・地球環境という有限な資源が食い尽くされています。
・私有財産制という制度で公財が食い尽くされています。
・仕事の分業化、効率化により、仕事のやりがいや助け合いの心が食い尽くされています。
・お金によって人間が評価されるようになり、人間の尊厳が食い尽くされています。
・ナレッジワーカーにより、エッセンシャルワーカーが食い尽くされています。
・すべてを商品に変えてしまう経済によって、人々の倫理が食い尽くされています。

資本主義によって、地球という有限な資源が食い尽くされてしまわないように、
手遅れにならないために、著者の主張として、
地球環境を持続可能なコモンとして、国民みなで管理し、
使用価値が高いエッセンシャルワークの社会的価値が認められる公正な社会を目指すべきと述べています。

ヤッシー
ヤッシー

私たち一人一人が、

仕事に対してやりがいや人と助け合う社会を心のどこかで望んでいるはずですが、

自分たちが暮らす資本主義というシステムが課せとなって実現できない社会となっているなあと感じました。

次に読む本

未来への大分岐 資本主義の終わりか、人間の終焉か?  
マルクス・ガブリエル (著), マイケル・ハート (著), ポール・メイソン (著), 斎藤 幸平 (編集)

格差社会を作り出した資本主義の危機と好機とは?をメインテーマに
各章ごとにテーマを設け、斎藤 幸平氏と著名人との対談形式で、
資本主義がもたらした負の部分を明らかにしている本となります。

第1部では、マイケル・ハート (著)と資本主義の危機について、
第2部では、マルクス・ガブリエル(著)と「人間の終焉」と相対主義について、
第3部では、ポール・メイソン(著)と資本の抵抗について、それぞれ対談しております。

資本主義の負の面の代表として、以下挙げられます。
・感情労働の誕生
感情労働(サービス業)という新たな労働が誕生したとこで、
肉体労働、頭脳労働の一種で感情、人を愛するための能力が
商品として販売されるようになった。

・自律性を奪う
資本の側の都合の良いように、労働過程を単純化し、分割し、
労働者の自立性を奪っていきました。

・AI
AIに仕事が奪われるというよりも、もっと重大な点として
AIに倫理的判断まで委ねてしまう社会がいずれ到来してしまう恐れがあります。
将来AIが賢くなって、AIの判断に人が頼るようになったら、
裁判(判決)や医療(クローン人間など)など本来人間の手によって
下すべき倫理的問題まで、AIが判断してしまうのは人間社会といえるのか?

著者の主張として、
資本主義システムは、人間性の拒絶(感情労働、自律性を奪う、AI)の元に
商品と資本を作り続けています。
奪われた人間性を取り戻すために、倫理的に考え、非市場的な部分である
人間性が残っている協同的で非営利的な部分を国家が拡張し、守らないといけない、
と述べています。

ヤッシー
ヤッシー

資本主義社会は、人間性の犠牲の元成り立っていることを知らなければならないと痛感できました。

そして、一刻も早く資本主義社会から奪われた人間性を取り戻すための新しい社会を作っていく必要があるのではと感じることが

できました。

ヤッシー
ヤッシー

人新世の「資本論」 と未来への大分岐で共通して述べられてる点は、資本主義がもたらす負の部分です。

私たちが暮らす社会が資本主義で成り立っている以上、従わざる負えない状況ではありますが、

私たちの生活に直結しているものだからこそ、そういった負の面には目を向ける必要があると思います。

社会生活を営む中で、幸福でありたいという思いは、皆同じだと思います。

この本を読んで一人、また一人と、

資本主義というシステムが、その思いを実現できないものとなってしまっていると気付き始めたら、

一人一人が幸福に暮らせる次の新しいシステムが生まれる運動に繋がることを期待したいです。




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