あらすじ
メモは第2の脳、つまり外付けハードディスクとして活用できます。メモには2種類あり「記録のためのメモ」と「知的生産のためのメモ」です。前者は忘れないためのメモ書きですが、後者はアイデアを生み出すためメモであり、それには次の5つのメリットがあります。
- 知的生産性アップ~アイデアが生み出せるようになる。
- 情報獲得の伝導率アップ~有用な情報をキャッチしやすくなる。
- 傾聴能力アップ~相手のより深い話を聞き出せる。
- 構造化能力アップ~話の骨組みがわかるようになる。
- 言語化能力アップです。~曖昧な事を言語化できるようになる。
知的生産メモのやり方のポイントは「ファクト」「抽象化」「転用」です。まず「ファクト」で事実を書き、次に「抽象化」で事実を振り返り、そして「転用」でアクションを起こすという流れで進めます。最初に整理して書き出すことで、様々な発想がうまれ、それを行動に活かすのです。
メモというシンプルな行為が知的生産性アップさせる、という面白い観点から描かれています。メモは情報を忘れないためのものという概念でしたが、記録では終わらず、その事実から見えてくること、気づきや応用可能な法則はないかを探ることは、思考意識が高まり、物事を客観的に見ることが出来るようになるという発想はとても興味深いものでした。
転職や結婚など人生の転機では、自分を知ることは重要ですが、自己分析にも大いに役立つでしょう。また日常生活やビジネスでの様々な課題解決にも応用できます。巻末の「自己分析1000問」を利用して自己分析を試みましたが、どの質問もすらすら答えられる内容はありませんでした。こういう場合こそ、本書の主張であるファクトからの抽象化で考えることが重要なのだと実感しました。
次に読む本
20歳の自分に受けさせたい文章講義 古賀史健著
初版は2012年ですが、昨年のベストセラー本「嫌われる勇気」の著者古賀史健氏によるもので、一生使える「文章の書き方」が描かれております。書く技術を身につけることは、論理性の確立や思考の整理などの要素を身につけられるので、情報発信をされる全ての方にお薦めします。
ブログやSNSの文章を読み手に読んでもらうための面白い構成に欠かせないコツ、映画の予告編のような見たいと思わせるポイント、他人事ではなく自分事目線で書く大切さや,起”転”承結で書くなど、魅力的な文章構成のノウハウが学べます。文章には「主張」「理由」「事実」の3要素が必要です。「主張」を支える「理由」があり、「理由」を補足する「事実」があります。しかしこの3要素だけでは文章は面白みに欠けるため、「寄り道」を足すことが大切です。寄り道とは、結論に達するまでの無駄な回り道のことで、そこへたどり着くまでの道は、行き止まりもあったし、急な上り坂や下り坂もあり、簡単には行かなかったということを描くことです。文章の役割は、読者に結論を見せる物ではなく、結論までの道のりを示すことだとしています。
情報発信ビジネスやブックレコメンドの本要約にあたり、この本を手にしました。
どのような仕事に就こうと、文章力は生涯にわたり武器になるので、早い内に習得づけることをお薦めします。
これまで文章を書くときは、読者が新たな知識を得られることが最重要だと考えておりましたが、この本では、ノンフィクションの文章では目からうろこが落ちる要素は全体の3割程度でよく、残り7割は既にわかっていることで構成すべきであるとしています。言い換えると「ええーっ!」が3割で、残り7割が「そうそう」「ふむふむ」「なるほど」が理想的とのこと。この説には私自身が目からうろこでした。文章構成に役立つ内容が盛り沢山の価値ある一冊です。
両書に共通することは、「書く」ことは自分の頭の中身を整理できるという点です。「メモの魔力」では事実を整理することで、そこから導かれるアイデアや発想を膨らますことが可能としており、「20歳の文章講義」では、書くことが自己の考えを翻訳するのだとしております。困難にぶつかりどんなに考えても答えが出ないような悩みを抱えた場合に、文章にしてみると意外な答えがみつかることがあります。これは 「書くこと」が「考えること」になるからです。
誰かに自分の言葉で伝えることは、バラバラな思考を再構築し、気づかなかったことを再認識できたり、理解を深めたりができます。
メモの活用も、文章を書く行為も、頭の中身をアウトプットをすることで、より整理された想いを伝えることが可能となるので、この2冊で書くことに磨きをつけましょう。
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