わたしたちが光の速さで進めないなら(キム・チョヨプ)の次に読む本

あらすじ

初出産を控え戸惑うジミンは、記憶を保管する図書館で、疎遠のまま亡くなった母の想いを確かめようとするが…(「館内紛失」)。
村を出た巡礼者はなぜ残酷で孤独でわびしいばかりの地球に留まるのか(「巡礼者たちはなぜ帰らない」)。

今もっとも韓国の女性たちの共感を集める、新世代作家のデビュー作にしてベストセラー。生きるって、愛するって何なのだろう。優しくて、どこか懐かしい。心の片隅に残り続けるSF短篇7作。

もんちょり
もんちょり

表題の「わたしたち」は、マイノリティの主人公たちのことで、SFの世界観を描きつつもどこか懐かしい感じがするのは物語で他者との関わりを描いているからです。わたしたちは皆違うけれども、それでも分かり合いたいというメッセージが伝わってきます。美しくて切なくて優しくて、読んだ後には爽やかな印象が残ります。個人的には「館内紛失」にグッと来ました。

次に読む本

屋上で会いましょう(チョン・セラン)

職場でのあらゆるハラスメントに疲れきり、常日頃、屋上から身を投げたいという衝動に駆られる私。ある日、心の拠り所である3人の先輩たちから渡されたのは、古くから受け継がれてきた絶望から抜け出すための「呪文書」だったが…「屋上で会いましょう」)。

結婚・離婚・ハラスメント・突然死など、現代の女性たちが抱えるさまざまな問題や、社会に広がる不条理を、希望と連帯、やさしさとおかしさを織り交ぜて、色とりどりに描く短編9作品。

もんちょり
もんちょり

ファンタジーと日常が合わさった世界観で、ふわふわとしていて奇抜な設定でありながらも、読後には日常で感じるモヤモヤが晴れているような作品群でした。ところどころに思わず頬が緩むようなユーモアがあってこれまた魅力的です。韓国の社会問題にも触れていて、弱者の生きづらさはどこの国も変わらないのかも、と思いました。ほっこりしたりしんみりしたりして、不思議と癒される作品でした。

もんちょり
もんちょり

同じ韓国の若手女性作家の短編集ですが、ジャンルはSFとファンタジー寄りの日常を描く作品です。どちらにも共通しているのは他社とのつながりです。どこにいて何をしていようと問題は尽きないけれど、それでも誰かとつながっていれば救われることもあります。女性目線で世界を見つめた時に、どんな物語が生まれたのか。共通点もそうですが、読み比べると作家の個性も強烈に感じられるはずです。社会問題も通底していて、ファンタジーながら私たちにもつながる話かもしれません。是非読んで両者の世界観に圧倒されてみてください。

この記事を書いた人

もんちょり

もんちょり ライターや翻訳家を目指す20代会社員。 ゆるゆるとしつつも、「広く」「深く」本を読んでいきたいです。語学(特に韓国語と英語)にも関心を持っています。よく読むのは小説、エッセイ、ビジネス書など。好きな作家は稲垣足穂、星新一、三浦しをん、向田邦子、米原万里(敬称略)。

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