華氏451度(レイ・ブラッドベリ、訳:宇野利泰)の次に読む本

あらすじ

書物を読むことを禁じられた世界。全ての本は禁書とされ、それを焼き払う任務を負った焚書員のモンターグは仕事に喜びを感じていた。 ある少女に出会うまでは。

モンターグに少女はいくつかの質問をする 「あんたが燃やした本のうち、どれか読んだことがあって?」 「あんた、幸福なの?」 人々は巨大なTVやイヤホンから流れる情報だけをただただ受動的に受けとってそれを楽しみとし、想像すること、考えることをやめてしまった。 そんな日常に疑問を持たなかったモンターグの心を少女は変える。 思わぬタイミングで書物の一文を読んでしまった夜。 詩集をコートの下に隠しもった老紳士との出会い。 主人公が新しい道を歩きはじめる希望に満ちた物語。

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QP

SFでありながら、本を読まない人が増えた現在のリアルな物語でもある。 私にとって本は娯楽であり、好きじゃなければ無理して読む必要はないと思っているけど、本の魅力を知らない人が多いのかも、と思うと少し悲しいと思わせてくれる作品でした。 漫画や動画のように『絵』で説明してくれないのでとっても不親切なのです。本とは。 著者とこちらががっつりタッグを組めたときにしか物語が成立しないというか、共同作業ではじめて景色に色が付き、人に血が通い、音や匂いや風がさわさわ吹いてる感じなどを実感できるんですよ、それが魅力なんですよね、と勝手に納得してしまう作品でもありました。普段あまり本を手にとらない人には翻訳本はまわりくどくてめんどくさいかもしれないけど、いろいろ考えさせられるテーマの作品だと思います。

次に読む本

奇説無惨絵条々(谷津矢車)

狂言作者”河竹黙阿弥”のネタ探しを手伝う浮世絵師”落合芳幾”こと幾次郎。 頼った先の老舗書店店主が差し出してきた短編は、どれも時代や事実関係の考証がはっきりせず、あやしげで幾次郎はふに落ちない。こんなもの、黙阿弥先生に持っていけませんよ…。 さて、清兵衛の心はいかに…?

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黙阿弥のネタとして、書店店主が紹介した五つの物語の短編集でもあり、全体を通して幾次郎の物語にもなっていて谷津ワールドに惹きこまれてしまう作品。 西欧化していく日本橋界隈、羽織を脱ぎ捨て黒チョッキに革靴で歩く人々。 谷津作品はいきいきと躍動感のある情景が浮かんでくるところが魅力的です。 歴史ものとしては堅苦しくなく、各編ちょっと切ない物語として一つずつ成立してるので、ゆっくりのんびり読みたい派にも話が追えなくなることはないのでおすすめしたいです。

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贅沢を禁じられる世の中。文化や娯楽、芸術を禁じられる世の中。事実だけを良しとし、ファンタジーはだめ。 考えただけでゾッとする。 事実を自動的に受信できる世の中は便利だけど、どんどん人間味を奪って行く気もします。 息苦しい世の中でも、人間の欲はむくむく膨れ能動的に自分の人生を歩み出す主人公たち。やっぱり好きに生きよう!とスッキリした気持ちになれます。

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この記事を書いた人

QP

本と酒と睡眠が大好物。 休日は主に読書からの脳内旅行へトリップしてます。