あらすじ
小学6年生の少年3人組と町外れで一人暮らしをするおじいさんの物語です。 少年たちとおじいさんが交流するきっかけは、少年たちが抱いた“死んだ人はどうなるのか?”という好奇心でした。 人が死ぬ瞬間を見るために、おじいさんを観察し始めるのです。
後をつけたりして観察するうちに、いつしかおじいさんと交流が始まります。ゴミ出しを手伝ったり、庭の草むしりをしたり、どんどんと仲良くなっていきます。
最初は、少年たちが抱いた“無機質”な死への好奇心で始まった物語だと思います。 つまり、関係のある誰かの死について考えたわけではなく、単純に“人って死んだらどうなるのか?”を知りたいという興味が発端でした。 しかし、おじいさんと親しくなることで、死が無機質なものではなく、感情的に意味をもつようになってくる・・・という命に対する向き合い方が変化していくところに、考えさせられるものが多くありました。
次に読む本
ツナグ(辻村深月)
一生に一度だけ、死んだ人と再会を叶えてくれるツナグという使者がいる。 突然死したアイドルを生き甲斐にしていたOL、癌告知をせずに死なせた母ともう一度話したい頑固な息子、嫉妬心を抱いていた親友を亡くした女子高生など、数組の生者と死者との一夜限りの再会の物語。
それぞれどういった思いで死者との再会を望み、死者は生者に何を残すのか。
あらすじにも書いた再会に定められたルールが物語の切実をさをより一層際立たせてくれています。 また死者に会いたいという理由は、人それぞれでした。小説だからこそ、死者にもう一度会えますが、現実ではそうはいきません。後悔をしない生き方、人とのかかわり方をしたいなと思いました。
どちらの作品も“命”に向き合う作品だと思います。 人の死をどう受け入れるのか。どうやって生きるのか。 無機質な死から感情的な意味をもつ死へと転換するようになっていた少年たちの話(夏の庭)も、 現実では二度と会うことができない死者への再会を果たす登場人物たちの話(ツナグ)も、多角的に死や生きることを捉えることにつながると思います。 そうすることで、より一層今を生きること、他者に向き合うことの意味を考えるようになるのではないかと思います。 後悔しないためにも、物語からヒントを得てみては?と思い、おすすめさせていただきました。
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