『本で床は抜けるのか?』(西牟田靖)の次に読む本

あらすじ

増え続ける蔵書に関するリスクと解決策を示したノンフィクションです。大量の蔵書を抱える著者は、本で床がぬけるんじゃないかという不安に襲われます。

そこで著者は、実際に本で床が抜けた「床抜け」の事例や、大量の蔵書を抱える蔵書家がどのような対策をしているのかを取材することにしました。その中で、蔵書家が抱える悩みや問題が浮かび上がります。例えば、実際に、本で床が破損した例はけっこうあるようです。また、蔵書家が亡くなってしまった場合、本がしかるべきところに寄贈されたりすればいいのですが、価値のある書物が捨てられたり、逆に思い入れが強く手放せなかったり、保存状態が悪くて古書店が引き取れなかったり、その他様々な理由で本の処分に困り、残された家族が問題を抱えることも多いそうです。そして、著者は、「床抜け」を回避すべく、蔵書を電子化したり処分したりして、取材内容を基に「床抜け」対策を実践します。

皆さんの床は大丈夫ですか?

次に読む本

『デジタルで読む脳×紙の本で読む脳』(メルリアン・ウルフ)

脳科学的見地から、「紙の本」と「デジタル」とでの読字のプロセスの違いやメリット・デメリット、更には両者のいい所をとった次世代の読字脳についての可能性の示唆を述べた本です。電子化された本は「床抜け」の危険はありませんが、紙の本に慣れた人にとっては電子書籍よりも紙の本が読みやすく感じます。

この本は、

  • なぜ紙の本の方が読みやすく感じるのか?
  • なんでデジタルじゃイマイチなのか?

という疑問について説得力のある説明をしています。その大きな理由は「物性」です。

紙の本はページに印刷されたモノであるため、読者は本の内容を時間的・空間的に位置づけて認識しやすいということが挙げられます。つまり、実際のページの進み具合や、何がどこに書いてありそれらがどう関連するかを物理的な次元で実感できるし、時には戻ったり、パラパラページをめくりふと止めて熟読したり…そういうことをしやすいということです。それが細部を大きな全体像に位置づけることを助け、ひいては理解を助けるのだそうです。

一方、デジタルで読む場合では、時間的・空間的な位置付けは全て概念的なものとなります。だから細部を大きな全体像に位置づけにくいのだそうです。

あまどく
あまどく

『本で床は抜けるのか?』は、増え続ける蔵書についての問題や、「床抜け」を回避する解決策について書かれた本です。

これは読書家の多くが不安に思うことではないでしょうか?例えば、鉄筋コンクリート造ならさすがに本で床が抜けることはありませんが、本棚にギッシリ詰めた本はかなりの重量になるので、フローリングが破損することなら十分に考えられます。この本の著者は、蔵書の多くを電子化することでその問題を解決しようとします。すなわち、デジタルで読む方向にシフトしようとします。

『デジタルで読む脳×紙の本で読む脳』は、紙の本で読む場合とデジタルで読む場合とのメリット・デメリットについて書かれた本です。この本では、紙の本の方が熟読しやすい理由を脳科学的な見地から説明します。

ここで、現代においてデジタルによる情報収集は不可欠です。そのため、この本では紙とデジタルの両立を図ることを推奨しています。具体的には、「デジタルに適した脳回路」と、「紙の本で深く読むことに適した脳回路」と、を上手に切り替えるような脳回路(バイリテラシー脳)が形成されることが望ましいと結論付けています。また、この本では、このようなバイリテラシー脳を育てるための子育ての方法についても示唆しています。子育て中の親、教育者、さらには「床抜け」を心配する愛書家におすすめの本です。




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