あらすじ
総額1億5千万円という多額のお金を騙し取った女の子”りりちゃん”。
彼女がどのようにして”おぢ”たちからお金を奪ったのか、どうして奪うことになったのか。そんな真相を加害者と被害者、そして支援者といった視点から見出していくノンフィクション小説です。

愛を求めるあまりに起きた悲劇、まさしく渇愛というテーマがふさわしい内容でした。
愛に飢えていたのはりりちゃんだけではなく、りりちゃんの母親やりりちゃんに騙された人たちも含まれており、そのバランスが崩れたことで事件は起きてしまったのだと思いました。特に、りりちゃんの情状証人として母親が断る場面が印象的です。詐欺事件後にも、母と娘の愛のすれ違いによって新たな事件に発展してしまいそうな雰囲気を感じました。
次に読む本
母性(湊かなえ)
母親から”無償の愛”を受けたように自分の娘を育てようとする母。そして全ての人から”愛される”ために周囲を気にして生きる娘。彼女たちの生活は、とある事故をきっかけに歯車が狂いだす。愛のすれ違いが生んだ母と娘の残酷で哀切な物語。

母親とは何か、母性とは何かを考えさせられるお話しでした。印象的なのは「女には二種類いて母性を持つ女と持たない女がいる」という部分です。母親だからと言って、必ずしも母性を持っているとは言えないし、その母性が愛のあるかたちで享受されるとも限らない。もし早くに彼女たちがこのことに気づけていたら、悲しい過去を変えられていたかもしれないとせつなくなりました。
おススメポイント

二つの作品の共通点は登場人物が”愛に飢えている”というところです。『渇愛』ではりりちゃんが母親からの愛に飢えており、『母性』では娘が母親からの愛に飢えています。また、両作品の母親は愛を与えているはずなのに、娘には届かないで一方通行で終わっています。起きた事件は異なるけれど、二つの作品の根底にあるのは愛のすれ違いだと思います。そのため、『渇愛』を読んだ方は、『母性』を読むことでりりちゃんが起こしてしまった詐欺事件の根底にあるものをより理解できると思うのでおすすめです。


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