「サピエンス全史」(ユヴァル・ノア・ハラリ)の次に読む本は

あらすじ

『サピエンス全史』は、人類の歴史を大きく四つの革命、すなわち認知革命、農業革命、統一の革命、科学革命を軸に描き出すユヴァル・ノア・ハラリの著作です。この本は、人類が約7万年前に認知革命を遂げ、言語を使用して複雑な社会を形成し、約1万2000年前の農業革命によって定住生活を始め、力の統合と帝国の形成、最後に科学革命がもたらした技術的、社会的進歩を通じて今日の世界がどのように形成されたかを人文学的、歴史学的なアプローチで探求します。

さわお

サピエンス全史では、ホモ・サピエンスがより屈強なネアンデルタール人を駆逐できた理由の考察から始まります。ホモ・サピエンスは突如訪れた『認知革命』によって『ウソ』をつけるようになり、それに伴い言語、そして共通の神話を作り出すことが可能になって、より多くの群れを制御できるようになったため、ネアンデルタール人を数で圧倒したということになっています。

それから、認知革命と同様の大規模な『革命』によって、人類の今が形成されているという構成になっています。

本書は綺麗ごとや期待を込めた世間一般からの人類史に対する眼差しと、著者の検証によって認められた人類史の見解を交互に見比べていき、落胆や安堵を重ねて文明の興りから現在までを描き切っています。

「なんだ、人類あまりすごくないじゃん!」と感じさせられることが多く描かれている一方で、しかしそれらが順を追って次への礎となり、最後の革命である『科学革命』に繋がっていく様は歴史的なロマンを感じさせられます。

次に読む本

「生成AIで世界はこう変わる」(今井翔太)

『生成AIで世界はこう変わる』は、生成AIの技術的背景・歴史的背景、労働市場への貢献と影響、創作活動への貢献と影響、そして人類未来におけるその役割や可能性を探る本です。著者は、生成AIによる社会変化の速度とその革新的な可能性、特に創造性の領域でのAIの活用を示すほか、恐らく人類の知能を超えるであろうAIを、良いものとして育て共存していく道を作る必要性を書いています。

さわお

一言で言うと、すごくわかりやすい本でした。

突如として世の中に現れ全てを破壊していくようにとらえられがちな生成AIですが、実は発想の基盤は第二次世界大戦直後には発表されており、『第一次AIブーム』は1970年頃までのことを指すそうです。

そういった歴史的な背景から、本書が発刊された2023年時点で使われているAIの技術基盤についての解説、また実際に社会実装されたことで起きていることなどが平易な文でとてもわかりやすく書かれています。

AIがどうやって学習をしているのかについての解説は技術者ではない私にも理解できる範囲で書かれているので、そういった技術的な部分に興味がある方にもおすすめです。

また、AIが社会実装されている実例として、カスタマーサポート分野での効果検証については、『AIを導入した企業の数』のようなデータではなく、『導入されたAIへの従業員からの信頼度と生産性』と言った指標でしっかりとデータが示されており、AIによって仕事はなくなるのか? という類の事柄に興味がある方にもおすすめできます。

そして、後半には創作における住み分けと共存の方法や、人間社会の未来に対する考えを、AI分野の研究の最前線にいる著者が述べています。

本書では『サピエンス全史』の引用もあるのですが、読んでいる途中でも強い相関を感じていました。

『サピエンス全史』は過去の人類の歩みを紐解き、終盤で少しだけ未来を想像して締めくくりとなります。その想像された未来というのが荒唐無稽で、これまで綿密に考察されていた歴史とはだいぶ印象が離れて、投げっぱなしだなあという感覚だったのですが、この『生成AIで世界はこう変わる』では、サピエンス全史で投げかけられた未来の姿に少しだけ輪郭が与えられています。

ただその輪郭も当たるも八卦当たらぬも八卦、AIは想像を超えた速度で進化をしているそうなので、何が起きるのかわかりません。

どうせなら、せっかくなのでより親密に適切に触れて時代の波に乗っていきたい、そう思わせてくれる本でした。

おススメポイント

さわお

『サピエンス全史』で描かれた、人類が成し遂げた種々の革命と、『生成AIで世界はこう変わる』で書かれているAIの歴史に似ている部分を感じること、また『生成AIで世界はこう変わる』の中で『サピエンス全史』が少しだけですが引用されていることで選定させていただきました。




この記事を応援する


Stripeで決済します。カード番号を入力してください。


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


「自動計算」へのリンク