カモメになったペンギン ~ジョン・P・コッター/ホルガ-・ラスゲバー著の次に読む本

あらすじ

ある氷山に群れで暮らすペンギンたちの物語である。ある日彼らの安住の地である氷山が溶け始め、危機が迫っていることを発見したペンギンが、その事実を仲間に伝え、理解をしてもらい、行動に導き危機を脱するまでを、他のリーダー達とチームワークで解決するストーリーである。非常にわかりやすく30分程で読めてしまうが、住み慣れた場所からの別の安住の地への移動はとてもエネルギーがいることであったり、リーダーの協力者や賛同者の重要性、無関心層や反対派に行動してもらう苦労など、組織を動かすリーダーシップに非常に重要なエッセンスが描かれている。
最初に危機意識をもったフレッド、そのフレッドの理解者となるアリス、危機を全員に知らしめ、どう解決するか調整者をした老練なルイス、仲間の不安をなくすため人を安心させた人気者のバディ、そして専門家で「教授」が愛称のジョーダン。この5人のリーダーシップが組織変革には欠かせないことを教えてくれます。

ようかん◎
ようかん◎

組織が何か新しいことを始めるとき、誰でも未知なことには抵抗が有り、変化を恐れてしまうことは多い。何もしない現状維持は楽であるし、安定だと感じるからだ。しかしこのペンギンの物語は、差し迫った環境変化に対応し、適切な行動を起こさなければ自分たちの未来はないことを教えてくれる。企業で新たなプロジェクトを推進するには5人のようなリーダーシップがないと上手くは進まない。これはあらゆる組織に共通することである。職場や学校、部活動や委員会、スポーツチーム、地方自治体や国家行政、そして家族にいたるまで様々な組織で応用できる。

組織が大きくなればなるほど、変革をもたらすためには、強力なリーダーシップと協力者が不可欠であることを改めて学べます。

寓話で語られていますが、組織・チームで変化に対応するための重要なエッセンスが詰まっております。ベストセラー本「チーズはどこへ消えた」は主に「個々人」の変化への対応力が描かれておりますが、本書は「組織」に焦点をあてております。2007年初刷ですが今でも大型書店では棚売りされており、組織のリーダーや管理職に特にお薦めの一冊です。

次に読む本

ワークマン式「しない経営」 土屋哲雄著

ワークマンは「しない会社」である。残業しない、ノルマや短期目標を設けない、他社と競争しない、値引きしない、デザインを変えない、社員のストレスになることをしない、社内行事しない、幹部は極力出社しない、接客しない、顧客管理をしない、取引先を変えない、対面販売しない。とりわけ「頑張る」ことはしないどころか”禁止”だ。なのに売上・利益・店舗数は、10期連続最高益を更新中。国内店舗数はユニクロを超えた。
ワークマンがどのようにブルーオーシャン市場を発見し、客層拡大して業績を上げたのか。どのように自分の頭で考える社員を育てるのか。データを最大限活用する「エクセル経営」とは?
作業服市場でひとり勝ちする背景には、企業風土を変える組織育成があった。株式会社ワークマンの現専務取締役である著者によるワークマン式組織の育て方がわかります。

ようかん◎
ようかん◎

小さい会社はあれこれ色んなことをやると弱くなる。小さい市場でいいので集中しナンバーワンを目指す、そして40年競争優位を築くものしかやらない。これらの方針があったからこそ、ワークマンは作業服1600億市場のトップになることができたのだろう。

アパレルやアウトドアウエア用品の競争が激化する市場に、作業服市場で培った機能性と低価格を追求した商品戦略で入り込み、4000億円の空白市場を探しあてたのだ。昨今の企業は少子化などによる国内消費の成長性が懸念されるため、すぐに海外進出を目論む傾向があるが、ワークマンのように愚直に自社の強みを徹底分析することで、競争の少ない国内の未知の成長分野にたどり着くことがあるのだ。長年にわたって狭い分野を深く追求したことでしか得られない成功事例だと思った。

ようかん◎
ようかん◎

ペンギンの世界で起きたことは、私たちの社会生活のあらゆる分野で発生する。

何か新しい行動を起こすためには、まずは足元を見て、自分のできること、自己の強みを明確にすることである。

自分に出来ない事は、それが得意な人へ任せ、自分の長所を活かすことが組織では重要である。

ワークマンは自社の強みを追求し、経営者の強いリーダーシップにより企業風土を変え、競争の少ないブルーオーシャン市場の開拓に成功していることは、ペンギンの物語の安住の地を探すことに共通している。

変革に成功できる組織には、明らかな共通するパターンがあることを、両書は教えてくれます。




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