あらすじ
パーキンソン病の母の介護を行った中年男性(ビジネスケアラー)が、自身の経験を語るノンフィクション。
最初の一年間は、ヘルパー等の支援なしに、著者本人が母親の介護を行う。リモートワークのおかげで、比較的時間の融通をつけやすかったらしい。また監視カメラやセンサーを導入して活用した。1日2時間程度を介護に費やすことになった。
母がトイレの前で動けなくなったのを機に、要介護認定を受け、ヘルパー等の支援を受けるようになる。ケアマネージャーにより、介護事情が劇的に改善する。
母は予想外に早く亡くなる。介護を始めてから5年ほどだった。
著者は、介護期間のなかで、最初の一年間が辛かった、と振り返る。

介護は、要介護者の程度は少しずつかもしれないが悪化していくのがほとんどだと思われます。著者の母も、家の中で起き上がるのに苦労したり、ときには玄関で寝ている(玄関の段差を超えられない)、というケースもあったそうです。
そうした状況で、外部から見たら介護期間のうち、後期のほうがキツイように思われます。しかし、著者によれば、最初の一年間(ヘルパー等の支援がなく、母の介護を著者がほぼ一手に引き受けている期間)がいちばん大変だった、と振り返っているのが印象に残りました。
誰もが将来通る道だと思いますし、私も近いうちに経験するでしょう。読んで学ぶことは多かったと思います。著者の語りが上手く読みやすいエッセイだと思います。
次に読む本
「読むだけで介護がラクになる本」(のぶ)
介護というと、ツライ、大変だ、というイメージがあります。けれども、本書では、マイナス面よりも、明るい面、前向きな面を取り上げている。
介護の負担は、要介護1~2あたりが最も大変。本人が動ける範囲が広く、目を離すと勝手に外出するなどのトラブルが発生する可能性がある。そのため見守りをずっとしている必要があり、介護する側の負荷が高い。
一方、車いすや寝たきりの人の場合は、目を離す時間があっても大きなトラブルが生じにくい。
老人ホームはかなり自由度が高く、外出や面会も自由に可能。また持ち込みも可で、仏壇をもってきて毎日拝む入居者もいるらしい。
また、
- 「ちゃんとやろうとする人ほど、しんどくなる」(p.23)
- 「コンビニくらい気軽に、介護サービスを頼ってほしい」(p.34)
など、など、介護に頑張りすぎないことの重要さも伝えている。

「介護」というと、ネガティブなイメージがあるかもしれませんが、この本を読むことで、介護にはポジティブな面もあることが実感できます。
家族だけでの介護に頑張りすぎないことの重要性がよく分かります。家族だけで介護すれば、要介護者と一緒にいる時間は長いかもしれませんが、その時間の多くを介護や介助に費やすことになります。一方で、デイサービスやショートステイなどで介護を専門家に任せれば、家族は要介護者と充実した時間を過ごせるように思いました。
おススメポイント

『プルーストが読みきれない』の著者の高橋氏が実体験から感じていた「介護初期が辛い」というお話。『読むだけで介護がラクになる本』(のぶ)を読むと、その理由が客観的にわかり、納得できました。
この2冊をセットで読むことで、介護を家族で抱え込むのではなく専門家に任せることの大切さ、また早い段階で介護のプロに協力してもらうことの大切さを学ぶことができます。
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