あらすじ
年金暮らしで月収4万円の主婦から、夫の遺産と株式投資で月収300万円の女性まで、それぞれ月収の異なる6人の女性が登場する。
悩みごとはお金があれば解決するのか?お金で買えないものとは?
6人の人生を通して、お金と生き方を考える物語。

月収も生活も全く異なる女性達の人生が、少しずつ関わり、影響を与え合っていくのが面白い。
生きる上でお金は当然必要だが、お金では買えないものがある。大抵の人はそう思っていると思うが、それが綺麗事だけで描かれるのではなく、登場人物達のリアルな生活や思いを通して納得させられる内容になっている。
不動産投資や新NISAの話など、ためになる話もあり、自分もこれからどう生きたいのか現実的に考えなければ!という気にさせられた。
特に印象に残ったのは、月収300万円の鈴木菊子。何もせずとも大金が入ってくるのに、彼女は「何もすることがない」と感じている。「自分のためだけに生きるには、一生は長すぎる」というセリフも心に残った。
最後に登場する斉藤静枝は、生前整理の仕事を始める。本当に自分に必要なものが見えてくることで、自分に合った生き方も見えてくる。
途中もやもやする内容もあるが、全員が前を向いているような終わり方が清々しい。
次に読む本
『老後の資金がありません』 垣谷美雨
パート主婦の後藤篤子は、知恵を絞ってやりくりし、コツコツ老後の資金を貯めてきた。
ところが娘の結婚と舅の葬式が重なり、しかも娘は派手婚を希望している。一流ホテルと見紛うような老人施設で暮らす姑の生活費も出さなければならない。
老後の資金がなくなり、仕事の契約も打ち切られた篤子が、家族と自分の老後のために奮闘する物語。

夫婦仲は良いのだが、夫は家計に無頓着でどこか頼りない。娘は派手婚の資金を親に出してもらうつもりだし、贅沢三昧の暮らしで預金が底をついてしまった夫の両親のために仕送りも必要だ。
しかし篤子はせっせと節約し、考えに考え、次々と我が身に降りかかる問題に不安を抱えながらも奮闘する。その姿が何とも健気で逞しく、応援したくなる。
きっと誰もが人生で経験するであろう様々な問題を、普通の人たちが考え何とか乗り越えていく姿をこんなにも面白く描けるのがすごい。
この家族にすっかり感情移入してしまい、ラストは胸が熱くなった。
おススメポイント

どちらの小説にも、とにかく赤裸々なお金の描写にドキッとさせられるのだが、参考になる点も多々ある。
人生において誰にでも色々な問題が起こるが、それでも人生はどこでどう転ぶか分からない。どんな時も、自分で考え、進んでいくしかない。
不安な気持ちに寄り添ってくれて、勇気を与えてくれる2冊。
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