あらすじ
一冊目は2023年のWBCにてブルペンキャッチャーを務めた鶴岡慎也氏の「超一流の思考法」を紹介したいと思う。
著者の鶴岡氏は北海道日本ハムファイターズや福岡ソフトバンクホークスで活躍し、梨田昌孝氏、トレイヒルマン氏や秋山幸二氏、工藤公康氏、そして栗山英樹氏など、チームを優勝に導いた名将の下でキャッチャーとして活躍した。また、WBC最年長のダルビッシュ有選手の専属キャッチャーとも言われ、2005年のフレッシュオールスターでMVPを受賞という功績を残し、2021年にファンに惜しまれながら引退した人物である。
そんな鶴岡氏はWBC前監督栗山英樹氏に頼まれ、ブルペンキャッチャーとしてWBCに同行することとなり、そこで触れた「超一流の思考」について述べられているのがこの本である。
ここで超一流の人物の主な人物が「栗山英樹氏」「ダルビッシュ有選手」「大谷翔平選手」である。
上記3人はメディアでも話題に上がったWBCを盛り上げた選手たちである。
超一流は何を考えるのだろう。
栗山英樹氏は文教大学を卒業した後、東京ヤクルトスワローズのテスト生(つまり、ドラフト指名外)の選手として入団。その後、努力を続け、ヤクルトスワローズの支配下選手になり、1度、ゴールデングラブ賞を受賞。その後、メニエール病にかかり、29歳の若さで引退し、その後、スポーツキャスターに転身した。
そのため、栗山氏は言葉の大切さを理解している。また、人に合わせて言葉を選んでいる。その例が「大谷翔平選手」だ。
栗山氏は大谷選手を「褒めなかった」のだ。それはなぜかというと、伸びしろを否定することになってしまうからだ。褒めることにより、「ああ、こんなもので良いんだ。」と思ってしまうからだ。投打二刀流で活躍、165キロを投げたなど、目まぐるしい活躍をしても「まだまだこんなものではない」という言葉をかけた。その言葉で限界を壊して大谷選手が期待にこたえるのだ。
もう一つ例を出すと、筆者の鶴岡氏にも「今年は打率2割8分を打ってもらう」「お前はもっと数字を残せる」という言葉をかけて、その後も顔を合わせるたびに「今年は打率2割8分だよ」と声をかけ続けたのだ。当時ヘッドコーチであった福良淳一氏は「鶴岡に2割8分は無理」と言っていた。しかし、栗山氏は「でも、俺は”信じてる”」と言い続けた。結果、その年の鶴岡氏の打率は2割8分には届かなかったものの、2.66まで上昇し、初めてベストナインに選出された。
2023年のWBCで不振にあえいだヤクルトスワローズの村上宗隆選手がメキシコ戦でサヨナラ打を打つことができたのは、栗山氏が村上選手を”信じて”代打を出さずに打席に立たせたからである。
鶴岡氏は栗山氏に信じてもらえたことを「潜在能力のスイッチを押してもらった」と振り返り、また、”自分で限界を作ってはいけない”と学んだという。
”自分で限界を作ってはいけない”という点では「ダルビッシュ有選手」についてもこの本には述べられている。ダルビッシュ選手は「現状維持は衰退である」とよく言っている。社会的地位が確立されて多くの収入を得て満足する選手が多くいる中、ダルビッシュ選手は「もっといい球を投げたい」と言って、毎年新しい球種に挑戦する。つまり、現状に満足することがないのだ。また、メディアにも多く取り上げられていたが、最年長である自分より年下の後輩の選手に「これはどう投げるのか」「○○君はどう投げているのか」と投げ方を聞いて実践していたのだ。鶴岡氏はそんなダルビッシュ選手を見て「彼の最大の武器は探究心である」と述べている。
ダルビッシュ選手についてもう1つ話がある。メディアにも取り上げられたが、WBC優勝を果たしたあと、シャンパンファイトで3年後のWBCを見据えて、「世界一を取りに行きましょう」と発言したのだ。鶴岡氏はそんなダルビッシュ選手の向上心に感心したそうだ。
先ほど、栗山氏が『大谷選手を褒めないで、「こんなものではない」と発言し続けてその言葉で限界を壊して大谷選手が期待にこたえる』と話した。大谷選手は投打二刀流で活躍している選手だ。野球選手になるに当たってポジションをピッチャーかバッターか”どちらか”を決めるのが普通である。しかし、彼はどっちもやったのだ。
そして、2016年から、ベストナインの投票において「投手」と「指名打者(野手)」も重複記者投票が可能になった。1940年に始まったベストナインは日本プロ野球77年目にしてルールの変更が行われた。
また、大谷選手はメジャーリーグでも実績を残し、「大谷ルール」というものを作ってしまったのだ。
それがなんなのかというと、「先発投手兼指名打者としてスタメン出場した選手が投手として降板した後も指名打者として打席に立つことができる」というルールだ。本来は投手として降板したら打席には立つことはできず、打席に立つには野手として守備位置につく必要がある。この制約は1973年度に制定された。そして50年後の2022年にルール変更がされた。
以上のことから私は「超一流は研究や探究心をいつまでも忘れず、自分を高めること。また、人に合わせた接し方ができて抜かりなく準備することができる人物のことを言う」と考える。
私はこの本を読んで、自分の今の立場に満足せず、自分の限界を決めないで行動しようと感じた。
栗山氏のように人に合わせて言葉を選んでいるのはたやすいことではない。これは人を観察してどうゆう性格なのかを熟知しなくてはいけない。栗山氏が番組に出ると学ぼうとする姿勢が印象的だ。(これもある種自分を高めている)常に人の話を聞いている。私も社会人になってそれなりに経つので後輩もできてくる。そういった子たちを観察して接してみようと感じた。
また、常に学んで高めていく大切さを知った。現状に満足せずに常に勉強。一生勉強する必要があると感じた。
次に読む本
大谷翔平の社会学(内野宗治)
次に紹介する本は、内野宗治氏の書いた「大谷翔平の社会学」という本だ。
先程述べた3人の中で「大谷翔平選手」を知ることで「世の中の出来事や世界情勢がわかる」本である。
どういうことかというと、大谷翔平選手が有名になることで日本は今どんな状態なのかが分かるのだ。
千賀滉大選手や吉田正尚選手、松井裕樹選手など、日本球界から多くの野球選手がメジャーリーガーとして活躍している中でなぜ大谷翔平選手が注目されるのだろう。あくまで私見だが、大谷選手はほぼ毎日朝や夕方の報道番組等で特集される。
一冊目の紹介の時にもあげたが、二刀流や大谷ルールなど、前例にないことをやってのける。常識やルールを壊していく姿に大勢のファンは憧れるのだろう。特に日本は横並びがよしとされており、出る杭は打たれるので、変に目立つようなことはしない。しかし、大谷選手は「出過ぎた杭、もはや打てない」のである。出る杭にならないように生きているから心の中で「ぶち破る人が出てこないかな」と「出過ぎた杭」を求めているからこそ、皆大谷選手に心酔するのだ。
また、大谷選手はお金に執着することがない。言うなれば、「心が野球少年のままで、そのまま大きな大人になった」のである。エンゼルスからドジャースに移籍する際、会見で大谷選手は「年俸は後払い」にすると言った。そのとき日本の反応の多くは「自分のことよりチームの財政を優先させるなんて素敵だ」という反応だった。しかし、アメリカでは違った。貧富の差が激しいアメリカにおいて「大金持ちの大谷は身勝手だ」という。税の公平を妨げるというのだ。これが「大谷選手を知ることで世界のことがわかる」ということだ。
ほかにも大谷選手でわかることがある。それは日本とアメリカの違いである。
まずわかることは「日本とアメリカで経済の格差がある」ということだ。大谷選手はドジャースと10年総額7億ドル(日本円で言うと約1022億)で契約をした。大谷選手は1000億稼ぐプレイヤーであるが、これはMLBの資金力と言っても良い。NPBの最高額の年俸は読売巨人軍の坂本勇人内野手の6億である。あまりにも桁違いだ。
NPBは旧態依然としていて、MLBはデジタル化とグローバル化を推進しているからというのもそうだが、そもそものベースは日本とアメリカで経済格差があるのだ。
今年のオープン戦は韓国でドジャースとパドレスの対戦カードで行われたことについても述べられている。ここでわかることは「大谷選手でわかる日本と韓国の違い」である。
大谷選手は高校生だった頃、卒業すると同時に「メジャーリーグに行く」と考えていた。しかし、北海道日本ハムファイターズにドラフト1位指名され、日本球界で活躍し、メジャーリーガーとして活躍している。また、大谷選手の3年先輩の菊池雄星選手も大谷選手と同じで「すぐにメジャーリーグに行く」と表明して賛否両論が巻き起こった。結局菊池選手は「まだまだ自分のレベルじゃ世界に通用しない」「日本の方々に認められてから」と話し、日本球界入りを決断。二人は周囲の大人から「高校からすぐにメジャーに行くことは危険」と言われていた。日本は飛び級を許さない国とまで言われている。
対して韓国は男子の「兵役免除」をかけて「すぐに海外へ行く」という思考が強い。すぐに海外に行くことは韓国人にとってサバイバルである。なので、日本のように自国の野球を経ずにメジャーリーグに行く選手が多くいる。大谷選手と違って好条件付きの移籍ではない。マイナーリーグからのたたき上げでメジャーで活躍する選手が韓国人には多いのだ。そして賞の獲得や国際大会での金メダル獲得で兵役が免除された選手がいる。このように韓国では兵役免除をかけて海外に行く思考が強いのだ。
このように韓国では「すぐに海外へ」という思考が強いためか、大谷選手の活躍に対して韓国人は「同胞(同じアジア人)の活躍」と捉えている。我々日本人は「同じ日本人の活躍」と捉えているのに対して。
アメリカに話は戻るが、大谷選手は「多種多様重視のヒーロー」といわれている。近年アメリカではマイノリティ、人種や女性差別の撤廃を訴えている。大谷選手はアジア人である。そんな彼が活躍することによってマイノリティに当たる人たちの思い描く世界を実現することができると希望を抱くことができるというのだ。まさに大谷選手は人種的マイノリティのサクセスストーリーだというのだ。
今後大谷選手に動きがあれば世の中に何かが起こっているということがわかる。今後も大谷選手の活躍に注目すると同時に、世の中に何が起こっているかを考えてみたいと思う。
今後大谷選手に動きがあれば世の中に何かが起こっているということがわかる。今後も大谷選手の活躍に注目すると同時に、世の中に何が起こっているかを考えてみたいと思う。
私はプロ野球ファンなので野球の試合中に起きたことばかりに注目してしまうが、今後は世の中にも目を向けたいと感じた。
また、日本や韓国の経済状態が芳しくないとクールジャパンやK-POPの音楽などの文化の輸出をする点にも触れていて非常に面白かった。
また、近い話だと、おーいお茶やコスメデコルテなど多くのスポンサーと契約している大谷翔平選手。それで日本の消費行動に影響を与えていると同時に、私もまた影響を受けている一人とわかった。なぜなら私の化粧品のほとんどがコスメデコルテだからだ。大谷翔平選手のポスターに惹かれて店に入って商品を購入したからだ。
おススメポイント
WBCで活躍した超一流3人の活躍で日本は優勝した。中でも毎日朝や夜の報道番組に取り上げられるほど世界で一番知られている野球選手である大谷翔平選手。彼の常識にとらわれない行動で日本とアメリカ両方の野球界のルールを変えた。そして、その行動で今の世の中がわかる。世の中で何が起きているかわからなかったら大谷翔平選手を追えばわかるだろう。おすすめポイントは「大谷ルール」についてだ。
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