あらすじ
藤井聡太さんの快挙を見るたびに「師匠はどんな方だろう?」と思っていた方へ
この本はまさにその師匠さんが書いた将棋界のあれこれを書いたエッセイです。
師匠杉本昌隆さんはお弟子さんを15人持つ八段のプロ将棋士
小4の時に将棋研究会に参加した藤井さんの才能をすぐ見抜き、
自分のお弟子さんになってくれないかなぁと思案する様子など微笑ましいエピソードあり。
実際自分の弟子になった途端、師匠を抜く快挙を遂げた藤井聡太さんのエピソードや
将棋界の日常を面白おかしく書いた週刊文春の連載をまとめた本
「師匠はつらいよ」のタイトル通り、できる弟子を持つのはつらい、と思いきや、やはりそこは大人の著者
藤井聡太さんやほかのお弟子さんの才能を開花すべく、将棋界の日常の心配りが満載の本でした。
おやつの話、食事の話から、勝負師として戦うメンタルサポートなど、将棋をしらなくても楽しめる話題がたくさんで面白い。
藤井さんが有名なので師匠自らお弁当をみんなの分買いに行くエピソードなどなど、子供の成長を喜ぶ親心が温かく、ますます藤井さんのことも杉本師匠のことも好きになった本です。
次に読む本
「ええかげん論」土井善晴
料理研究家の土井善晴先生の、「料理本」ならぬ「料理する人の人間性」を書いた本
人は食材を自分の思い通りに調理しようとするが、本当においしい料理とは食材の声を聞き、食材と対話しながらお互いが「ええ加減」=「いい塩梅(あんばい)」であり続けることが大事。そしてこれは料理だけでなく、生きていく全てにあてはまる。
人として相手を思いやる「ええ加減」を持ち続けることが大事なのでは、と説いた本。
対話相手の中島岳志との人間論が温かくて読後感はこんなスケールの大きい人でありたいと大満足する本。
関西弁の土井善晴さんのお料理番組はいつも食材の力を生かしたシンプルな味付け。
マニュアル通りの軽量ではでない今日の素材に合わせた味付けはいつも美味しそうでした。
今回この本を読んで、食材との「ええかげん」が「いい気持ち」であることを知り、
料理だけでなく人間関係においても相手との距離感や思いやりを大切にしたい、と思える本でした。
おススメポイント
杉本師匠も土井善晴さんもそれぞれの業界ですごい人なのにとにかく相手を大切にするやさしさにあふれている。
自分の思い通りにしようとせずに、相手を思いやりながら勝ちを目指したり、料理の頂点に達する姿に心打たれました。
読書の良いところは、著者の人柄が伝わってきて、その分野を知らなくてもその人の人柄に惹かれて楽しめるところ。
将棋を知らない人も料理を作らない人も、師匠と呼ばれる人たちの人柄から学べることたくさんあると思います。
人として成長させてもらえるような本でした。
コメントを残す