あらすじ
「ドS刑事」や「死亡フラグ」のシリーズでおなじみの七尾与史さん。今回ご紹介する本は、いままでとは一風変わった作風に。 主人公の中学生たちが、行方不明事件に巻き込まれた友人を探すために、街の秘密を解き明かしていくという昭和・ノスタルジック・ホラーです。
街の人物・歴史・場所が縦横無尽に交差する内容ですが、さすがの七尾与史さん、読者をこの本の世界にのめりこませることで、うまくまとめてらっしゃいます。 まるで自分が駄菓子屋ファウストのある街で、この怪奇な事件に巻き込まれているような臨場感です。情報量やその後につながる重要な伏線など、読み進めながらしっかり頭に入れることができました。 地域の歴史や伝承が途切れそうになっていることを強く感じる時代に出版されたことで、「もしかしたらこんな街が近くにあるのかも…?」と考えてしまう読了感も、狙われた効果なのかもしれません。
次に読む本
ふしぎ駄菓子屋銭天堂15 廣嶋玲子
「銭天堂シリーズ」は、テレビ放送もされている人気の児童文学です。これを知らない小学生はほとんどいないとか。 各巻、短編が数本収録されており、悩みを持った小学生が、駄菓子屋の謎の店主「紅子(べにこ)」さんと関わることで不思議な事件が進んでいきます。
児童文学ですが、「世にも奇妙な物語」や「笑ゥせぇるすまん」に通じる、シニカルな雰囲気がただよっています。「ソフトな”イヤミス”」と呼ぶこともできます。 基本的にどの巻から読んでも差し支えないのですが、今回ご紹介する15巻は大人にもおすすめできます。 「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」に悪意を向ける「謎の組織」の登場により、いっそうホラー&ミステリー要素がただよっているのです。 各話の登場人物の中に、我々もよく悩んでしまうジャンルのテーマを持った「大学生」も登場し、大人でもドキドキしながら読める内容に!
いずれもタイトルの「駄菓子屋」繋がりです。 似たようなストーリーや世界観の設定かと思いきや、この2冊はまったく違うジャンルの作品として楽しめます。 ネタバレにならない程度にご紹介すると、駄菓子屋そのものとしては、ホラー小説の「イーヴィル・デッド 駄菓子屋ファウストの悪魔」よりも、児童文学の「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」のほうが不気味な存在ですよ。
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