あらすじ
大好きな父親と離れ、ロンドンの寄宿学園に通う事になった七歳のセーラ。
彼女は裕福な生徒として、寄宿学園で特別な待遇を受けるが、ある日、唯一の肉親である父親が事故で亡くなる。
以来、セーラは今までの特別待遇とは一転し、屋根裏部屋へと追いやられ召使いのように扱われる。
心が挫けそうになる度、セーラは持ち前の「想像力」で心の豊かさを貫き通していく。
この作品を読む前に「裕福から貧乏に転落した女の子が周囲からいじめられる話」という漠然とした物語の流れを知っていたので、「読むのつらそう」と尻込みしていました。
しかし、実際に読んでみると「いじめられる話」よりも、主人公のセーラの心の豊かさに惹きつけられました。
どんな環境におかれても心の豊かさを忘れずに貫き通せば、道が拓ける。
読了後は、セーラの生き方に惚れ込んでしまう一冊です。
次に読む本
『百まいのドレス』エレナー・エスティス(著)
その学校には、貧しい少女ワンダが通っていた。
毎日同じワンピースしか着てこないワンダがある時「ドレス百まい、持ってるの。」とクラスの女の子たちに話して以来、女の子たちから「百まいのドレス」のことでからかわれるようになる。
ワンダは、何度からかわれても「ドレスを百まい持ってる」と言います。
貧しい少女がどうしたら、「百まいのドレス」を持つことができるのか……。
物語の冒頭でワンダはすでに学校を去っています。
私たち読者は、彼女を散々からかっていたクラスメイトたちの目線で、ワンダという少女を見つめることになります。
なので、最後までワンダの本心はわかりません。
いじめを経験してきた私は、「もし、私がワンダだったら、彼女のように行動できただろうか」と本を閉じた後も、自分に問いかけ続けています。
『小公女』も『百まいのドレス』も古い作品ではありますが、「想像力」「いじめ」「現代まで読み継がれてきた本」という共通点がありました。
『小公女』はいじめられる者側の視点で、『百まいのドレス』はいじめた側の視点で描かれており、フィクションであるものの被害者と加害者の両方の気持ちを体験することができます。
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