あらすじ
エンド・オブ・ライフとは終末期。 医療の現場では疾病などからの回復が望めず、早々の死が避けがたくなった状態の事を表します。 本書は死をテーマに取材を続けた著者による、7年間にわたる在宅での終末医療の現場を活写したノンフィクション。 在宅医療とは自宅での終末を望む人のために、患者の自宅を医師や看護師が訪問して行う医療です。 在宅だからこそ成しうる患者の最後の希望を叶えることもできます。 著者は取材中に難病の母を亡くします。その母を看取ったのは献身的な在宅介護をしてきた父親。 その姿を見て改めて「家族とは何か」「自宅で亡くなるとは」・・・と多くの気づきがありました。
そして著者が取材先で友人となった一人の看護師が癌に罹患。彼は200人の患者を看取ったプロ。 自らの死を目前にし、葛藤しつつもどうのようにして命を閉じていくのか。 取材を通して、最後の日々を共に過ごし「理想の死の迎え方」を考えていきます。 家族の死、子どもの心境、夫婦の絆・・・。取材から見えてくる、生きる意味。 自分や家族の終末期を考えさせられる一冊です。
人間とは「あの時ああすればよかった」と後悔する生き物です。 突然の死よりも、死期がわかっている方がいい時があるかも知れないとうことです。 死を迎える準備ができること、感謝を伝えることができること、残りの時間を「どうやって生きる」か決めること。 これを実現できるのが在宅医療であり、病院ではできない「命の閉じ方」だと実感しました。 自分や家族にいつ「死」が訪れるかわかりません。 本書では最後の瞬間まで生き抜く姿が描かれています。 あらためて人の「生死」について考え、理想の「生き方・死に方」を考えていきたいです。
次に読む本
患者になった名医たちの選択/塚崎朝子
医師であろうとなかろうと、病は平等に降りかかってきます。 本書では18人の医師が登場し、それぞれの闘病体験を語ってくれます。その中に癌になった医師は9人。 根治する病ばかりではなく、後遺症や障害を抱えながら生きる医師もいます。 医師が患者になったとき、どういう心境になり、どういう選択をしたのでしょう。 18人の医師たちは、病を得た後、なお医師として天職を全うし輝きを取り戻しました。中には亡くなった医師もいます。 療養や復帰、終末期を支えたのは家族、友人、仕事仲間でした。 そして何よりも、本人の「生きたい」という並々ならぬ努力です。 そうした「人生の輝かせ方」を教えてくれる一冊です。
胃癌で若くして亡くなった医師の言葉が響きました。 「人生が2分の1なら、2倍働いて2倍遊べばチャラになる。人生が濃くないともったいない。」 最後まで医師として活動し、趣味にも打ち込みます。そして家族との目標を達成し、命の限り頑張りました。 翻って自分はどうだろうか。 目標を持って1日1日を生きているだろうか。 病は平等に降りかかってきます。そして人間は後悔をする生き物です。 今は健康である自分に感謝し、これからの「生き方」を考えさせられました。
【エンド・オブ・ライフ】を読んでいる途中、本棚にあった【患者になった名医たちの選択】を思い出しました。 どちらにも共通するのは「選択・決断」です。 医師、患者、家族の決意で人生は意味のあるものに変わります。 今もなお猛威を振るう新型コロナウイルス。 医療の逼迫で「選択・決断」を迫られる時が来るかもしれません。 こんな時だからこそ読んでおきたい二冊です。
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